⑴コルク栓(仏 Bouchon)
ワインの瓶詰めには、さまざまな栓が用いられています。
これらの栓を総称して、クロージャー(Closure)と呼び、コルクの形をしたものと、金属製のスクリュー・キャップ型に分けられます。
コルク型のクロージャーは、材質の違いによって、天然コルク、圧搾コルク、合成コルクなどがあります。
①天然コルク(仏 bouchon naturel)
天然のコルクは、コルク樫(学名 Quercus suber)からとられています。
コルク樫は、地中海沿岸を原産地とし、幹の生長と共に、表皮のコルク層が剥離し、10cm以上の厚さになる性質を持っています。
主要な産地は、ポルトガルとスペインなどです。
上質なコルクとなるためには、10年以上かけてコルク層が生長するのを待つ必要があります。
近年では上質なコルクの入手が難しくなっており、圧搾コルクや合成コルクなども使われています。
[コルク臭(仏 bouchonné)]
コルクに含まれる、2,4,6-trichroloanisole(TCA)によるワインの劣化。この物質があると、嗅覚が麻痺するため、ワインの果実感を感じなくなります。
TCAは、低濃度でも知覚できる強い匂いを持ち、10ppt(10nℊ/ℓ)程度の少量でも感知できます。
前駆物質である2,4,6-trichrolophenole(TCP)がコルクに含まれることがまれにあります。
TCPの匂いは弱く、通常の量では知覚されませんが、ガビがもつ酵素によりTCPがTCAに変換されることで、極少量でも匂いを知覚できるようにまります。
かつては、木材の殺菌にTCPを使っていたため、コルク臭の発生率は高かったといわれていますが、最近の研究では、現在でも発生率は2~3%程度と、以前と比べてかなり低くなっていると推定されています。
②圧縮コルク(仏 bouchon aggloméré)
天然のコルクを打ち抜いた後の部分のコルクを、細かい粒子状にして、コルクの形状に固めたものです。
粒子状にした後に、コルク臭を除去する工程を行うものは、コルク臭の発生率の非常に低い圧搾コルクとなります。
③合成コルク(仏 bouchon synthétique)
プラスティックからつくられる栓で、全体が一つのプラスティックの塊状のものと、コルクの弾力性を模して内部が発泡性のプラスティックがあります。
⑵スクリュー・キャップ(仏 Capsule à vis)
金属製のキャップでネジ式になっているため、一度開けた後に、再度密閉できます。
スカート部分が長く、キャップの下部がボトルに残るものと、スパート部分が短くボトルに残らないものがあります。
キャップの天面内側の接液部にライナー(仏 Liner)と呼ばれる緩衝材が使われています。
この部分に、弾力性のある素材を使うことで、栓をしたときに密閉度が保たれます。
ライナーの部分に、酸素を通しにくい金属素材を張り付けてあるものもあります。
コルクと違い、金属のキャップは酸素を通さない(さらにライナーに金属は貼り付けてあるものは外部からの酸素流入がほとんどない)。
還元臭が出るリスクを下げるために、瓶詰めの前に中身のワインの溶材酸素濃度をコントロールすることが必要であります。
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