フランス・ブルゴーニュ地方南部・ボージョレ地区でつくられた新酒の赤ワインのこと。
ボージョレ地区は、フランス・パリの東南に位置するブルゴーニュ地方の南部、美食の町リヨンから北部に広がる地区でなだらかな丘陵地帯です。 ボージョレは、「美しい高台」を意味するボージュBeaujeuに由来しています。 ぶどう畑は起伏に富んだ丘の東から南斜面に位置するため、標高が高い割に気候は温暖で日当たりもよく、上質なワインづくりに適しています。 マコンのすぐ南から始まる北部は花崗岩を基盤とした丘陵地帯で、高い場所は結晶質の岩石からの軽い土壌。黒ぶどうのガメイ種に相性が非常によい土地で自らの村名を名乗る10のA.O.C.が続き、クリュ・デュ・ボージョレを総称。その周囲にボージョレ・ヴィラージュの畑が広がっています。南部は北部より土壌も肥沃で粘土石灰質と砂岩。平坦な部分も多く、広大なA.O.C.ボージョレの畑であります。ボージョレヌーボーはボージョレの生産量の約1/3にあたり、A.O.C.ボージョレ・ヴィラージュとA.O.C.ボージョレで造られています。
ボージョレでは白ワインやロゼワインもつくられていますが、ほとんどがガメイ種からつくられる赤ワインです。 ボジョレーヌーヴォーとしては白ワインは認められていません。 またワインのつくりかたも他の地区のワインとは違います。
(白ワインのヌーボーは、ボージョレ地区の北、マコネ地区マコン村のシャルドネでつくられるため、「マコン・ヴィラージュ・ヌーボー」と呼ばれています。)
ボージョレ・ヌーボーの解禁日は毎年11月の第3木曜日午前0時と定められています。
これらの地方のブドウの収穫を祝い、出来立てフレッシュな新酒を楽しむのが、
日本でも風物詩となっており、ボージョレヌーボーの最大の輸出先です。
ボージョレヌーボーが世界で注目を集めはじめた頃、ワインの売り手たちは、いち早く出荷しようと競いはじめました。 その結果、質の悪いワインも出回ってしまい、せっかく世界に認められたボージョレの評判を落としかねないほどでした。 そこで1967年、フランス政府は、ワインの品質を下げないために解禁日を定めたのです。 それが11月15日。解禁されるまでは販売も飲むことも禁じました。 ところがフランスは安息日に働かないお国柄で、この日が土日や祝日になると運送がストップして出荷ができなくなってしまいました。 1985年、フランス政府は安息日に重ならないように配慮し再び解禁日を定めます。 それが現在の「11月の第3木曜日午前0時」。 日付変更線の関係上、日本では本場フランスよりも約8時間早く解禁日を迎えるのです。 2022年は11月17日が解禁日です。
品質を維持するためとは言え、9月頃収穫したワインを11月半ばには販売するわけですから、相当な急ピッチで醸造しなければ間に合わせることが出来ません。
そこで「マセラシオン・カルボニック」と呼ばれる醸造法がとられます。
通常は、発酵の前にぶどうを破砕しますが、ここでは収穫した「ぶどうの房」を、そのままタンクにいれて発酵させます。 こうすることで、ぶどうの重さでぶどうが潰れ果汁が流れ出て自然に発酵が始まり、タンクの中に炭酸ガスが充満します。
そして、ぶどうの実の内部でさまざまな成分が生成され独特の風味が生まれます。 一般的にタンニンが多いボージョレは色が濃くて渋い味わいになりますが、収穫されたばかりのぶどうでできたボージョレヌーボーは、渋みが少なく、フレッシュでフルーティな味わいになります。 一口飲めばきっと、寝かせたワインとはまた違った魅力に気付くでしょう。
副産物としてボージョレ・ヌーボーのあのイチゴ・キャンディのような甘い香りが生じ、しっかりと色素を含みながらタンニン分の少ない、軽くフレッシュなワインに仕上がります。
ボージョレ地区の主なA.O.C.ワイン
Beaujolais(赤、ロゼ、白)
Beaujolais Supérieur(赤)
A.O.C.ボージョレよりも最低アルコール度数の規定は高い。
Beaujolais Villages(赤、ロゼ、白)
ボージョレ地区北部の38のコミューンが名乗ることができる。土壌に砂質が含まれ、ブドウを暖め、成熟する。このためA.O.C.ボージョレよりも肉付きがしっかりしている。生産量の1/3はボージョレヌーボーです。
Cru Beaujolais
Saint-Amour
Juliénas
Chénas
Moulin-à-Vent
Fleurie
Chiroubles
Morgon
Régnié
Brouilly
Côte de Brouilly
この中で、ムーラン・ア・ヴァンとモルゴンは、とくに熟成能力に優れたワインで、ムーラン・ア・ヴァンは花崗岩砂層で、マンガンの鉱脈が入り込んだ土壌で、しっかりとした造りの複雑なワインが生み出されています。モルゴンは片岩と古い火山岩の土壌で、力強く、肉付きのあるワインが生まれます。また、レニエは1988年にA.O.C.に昇格した、クリュ・ボージョレの中では最も新しいA.O.C.です。
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