①Macération carbonique
縦型の大きな密閉ステンレスに、収穫した黒ブドウを粉砕せずにそのままいっぱいに詰め、二酸化炭素(炭酸ガス)を充満させた状態で数日置く方法。
この間にブドウは果皮の細胞内で酵素反応が起こり、アントシアニン色素が抽出されやすい状態になるり、ごく少量の糖分がアルコールに変換され、また炭酸ガスや少しのグリセロールなどの副生物が生成されます。
また、この醸造法の特徴である、バナナの香りを思わせるエステル(酢酸イソアミル)が生まれます。
このブドウを圧搾し、得られたモロミ液を白ワインと同様に発酵させます。
この方法によると、ボージョレ・ヌーヴォーのように非常にフルーティな香りで、色の濃さのわりにタンニンによる渋味の少ない、フレッシュな味の赤ワインが得られます。
マセラシオン・カルボニックは、炭酸ガスを外から注入する方法と、ブドウをタンクに詰める間に一部のブドウがつぶれ、その発酵によって発生する炭酸ガスに頼る方法の2種類あり、ボージョレ・ヌーヴォーは後者の方であります。このため、ボージョレの人々は「自分たちのはマセラシオン・ナチュレルであり、カルボニックではない」という造り手もいます。
②Sur lie
ロワール地方で採用されている醸造法で、アルコール発酵後、ワインを澱引きしないでそのまま発酵槽の中に放置し年を越させ、翌4~5月ごろに澱の上にあるワインの上澄みだけを取り出し瓶詰めを行います。ワインの澱からアミノ酸などのうまみ成分が抽出され、味わいのあるとなります。
シュール・リーとは澱の上でという意味です。
③Skin contact(仏 Macération pelliculaire)
除梗・破砕後、圧搾の前に一定の時間、圧搾機やタンクの中で、果皮を果汁に漬け込む工程をスキンコンタクトと呼びます。
ブドウの品種香は果皮に含まれることが多く、スキン・コンタクトをすることで、果皮から果汁に香り成分が移行します。
破砕後、圧搾機の性能が飛躍的に向上し、圧搾の工程が短時間で終了するようになった1960年代以前は、必然的にスキン・コンタクトに相当する時間がかかっていたので、新しい技術というより、以前の醸造法から学んだ工程とみることができます。
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